■「悔しい思いもたくさんしてますけど」

 体を投げ出して倒れ込みながら決めたシュートが、流れを変えた。場内の雰囲気はこの小林のゴールで一変。押せ押せムードの中、遠野大弥の逆転ゴール。そして宮代大聖のダメ押し点へとつながることとなった。

 ある意味、小林のゴールが川崎の逆転勝利への道を切り開いたと言っても過言ではないが、その小林は「調子は良くて、メンバーに入ればという気持ちで今シーズンずっとやってて。なんとか入れて、しかも(ゴールを)取れたので」と話しつつも浮かれた様子は見せず、「でもまたすぐに競争が始まるし」と表情を引き締める。そして、チーム内でのそうした競争について「本当に今年こういう競争ができてることもすごく幸せなことです」と前向きに語っている。

 もちろん「悔しい思いもたくさんしてますけど」とも述べるが「そういう競争に勝っていけるように、また練習からやっていきたいなと思います」としていた。

 悔しい思いやチーム内競争を前向きのパワーに転換できているからこその同点ゴールだったと言えそうだ。

(取材・文/江藤高志)

  1. 1
  2. 2