一瞬で決まったゴールだった。川崎フロンターレが1点リードで迎えた後半25分のことだ。GKチョン・ソンリョンが蹴ったボールにマルシーニョが反応。パス1本で裏に抜けると、相手GKが前に出てきたところでループシュートを選択。勝利を確信させる3点目を決めたのだ。
「ソンリョンが持ったときにアイコンタクトというよりは、持ったときに自分はもう走り出していました。相手のディフェンスが戻るのがちょっと遅かったので、そこを自分も見逃さずに、相手の隙を見逃さなかったソンリョンの素晴らしいアシストだったと思います」
マルシーニョは試合後、ソンリョンのフィードに対して称賛の言葉を惜しまなかった。10月8日の天皇杯準決勝。アビスパ福岡と決勝進出を目指して戦った試合を決定づけたのは、意外なコンビネーションだった。
周囲の人間にとっては“意外”だったが、当のマルシーニョは「練習でもこういった場面はあるんです」と話す。「けど、今日は特に“持ったら見てるぞ”みたいなところは言われていたので、それをしっかりと自分も生かすことができて良かった」と続けた。
2人の間では狙っていた形であり、実際、チョン・ソンリョンもマルシーニョから「狙ってくれ」「準備しておいてくれ」と試合前に話していたと明かしている。相手の特徴を見ていたからこそのやり取りが生きたのだ。