■ダミアンにかけた言葉

 マルシーニョは、そのフィードを受けても慌てることがなかった。その瞬間を、次のように振り返る。

「本当に完璧なフィードだったので、その中で相手キーパーがちょっと迷ってるのが見えた。その“迷い”は自分にとってすごく素晴らしいことなので、落ち着いてシュートすることができました」

 前半、マルシーニョはその突破からPKを獲得。FWレアンドロ・ダミアンがこれを蹴るも、失敗してしまったのだが、直後、マルシーニョはすぐに駆け寄って話しかける場面があった。それについて聞くと、「ミスは試合では起こりうることなので、“ミスはある”と“次のチャンスを狙おう”」と言葉を寄り添わせたという。そして、「結局彼のとこにもチャンスが来て、ゴールを決めることができたので、すごく良かった」と笑顔を見せたのだった。

 この日の等々力競技場には、家族や友達が見に来ていた。得点後、チームメイトと喜び合うと、その近くに行くことも忘れなかった。マルシーニョは誕生日など特別な日に、「素敵な朝食が出て来る」と話していたので、明日もそうではないかと聞くと、

「フウウウゥゥゥーーーー!!」

 とこの日一番の陽気な声を上げて、報道陣の笑いを誘った。そして、「アリガトウゴザイマス」とミックスゾーンを去ったのだった。

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