■盛り上がる試合展開
こうして、なでしこリーグの首位決戦は、首位を走る地元のチームを大勢の市民が後押しするという、素晴らしい雰囲気の試合となった。
しかも、試合開始直後に鴨川がいきなり3点を連取して、地元の観客を大いに盛り上げた。
90分を通して振り返ると、地力で勝るニッパツ横浜がコントロールする時間が長かったようだが、鴨川は先制攻撃に成功したのだ。
開始3分に並木千夏が蹴ったCKを相手GKがファンブルしたところにキャプテンの山幡あやが飛び込んでヘディング・シュート。これはクロスバーに嫌われたが、すぐにストライカーの鈴木陽が押し込んであっさりと先制したのだ。
その後も22分に中盤で齊藤彩花が相手ボールを奪い、そこから素早く展開して再び鈴木が決めて2点目。そして、43分にもFKのこぼれ球を近藤彩優子が決めて、鴨川は決定的とも思える3点のリードを奪った。
キックオフ直後から全力を出してプレーし、相手を追い込んで先制。そして、さらに2ゴールを追加した試合運びは見事だった。鴨川を率いている野田朱美監督(元女子日本代表)は勝負師的なところがあるから、意図的に早い時間帯から積極的に攻めたのかもしれない。いずれにしても、とても戦略性のある戦い方だったといえる。
ところが、ニッパツ横浜も前半の最後の時間帯に1点を返すことに成功。河野朱里のCKが跳ね返ったこぼれ球を、CFの片山由菜が決めて1点を返したのだ。
そして、この1点が後半につながり、試合は3対3の引き分けに終わった。