■トップ下・久保が有効なピース

 そして後半には右サイドに入った久保建英(レアル・ソシエダ)が躍動。浅野拓磨(ボーフム)と田中碧(デュッセルドルフ)のダメ押し点をお膳立てした。「今はチームで右のウイングで出ているので、僕のファーストチョイスというか、一番自分の力を発揮できるのは右だと思っています」と本人も言うように、本来の位置で出た時の彼は躍動感に溢れている。だが、代表では伊東という絶対的キーマンがいるため、常時ここで出られるわけではないという現実がある。

 そこで森保監督はトルコ戦で久保をトップ下で起用。右に堂安律(フライブルク)、左に中村敬斗(スタッド・ランス)、トップに古橋亨梧セルティック)という構成の中、久保がゲームを引っ張った。先制点こそ堂安と伊藤敦樹(浦和)の巧みな連携から生まれたが、中村敬斗の2点目は久保の強烈ミドルのこぼれ球だし、中村敬斗の3点目の場面でもペナルティエリア内に侵入。DFを引っ張ってスペースを空けさせた。

 トルコが本気モードになった後半はやや球際で負ける部分も増えたが、左ポストを直撃した自身の反転シュートや前田大然(セルティック)の決定機を誘発したスルーパスなど何度か見せ場を作った。最終的に勝負を決めたのは伊東だったが、トップ下・久保が有効なピースであることもハッキリした。

 新戦力の伊藤敦樹や中村敬斗のゴールもあり、キャプテン・遠藤航リバプール)は「シンプルに前にタレントが多い。所属クラブで結果を出している選手がすごく多いのが大量得点の1つの要因になっている」と分析した。三笘薫(ブライトン)や鎌田を含めて欧州で実績を残すタレントがズラリと並ぶ代表はワクワク感が大。本当に先々が楽しみになる9月シリーズだった。

(後半へ続く)

(取材・文/元川悦子)

(2)へ続く
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