■森保監督のプラン

 森保監督が大迫、南野を招集しない直接の(短期的な)理由は、アジアカップが迫っているからではないか?

 2024年の1月から2月にかけて行われるアジアカップ。前回は決勝戦でカタールに敗れてタイトルを獲得できなかったこともあり、森保監督としてはワールドカップ予選を前にアジア各国に「日本は強い」と思わせるためにもぜひ優勝しておきたい大会なのだろう。

 その意味で、現時点で大迫なり南野を入れて、2023年に入ってから積み上げてきたコンセプトに変更を加えたくないのではないか?

 5年前もそうだった。

 2018年のロシア・ワールドカップ終了後に就任した森保監督。初陣となるはずのチリ戦(札幌ドーム)は直前に発生した北海道東部胆振地震の影響で中止となったがその後同年中に戦った5試合では、トップに大迫を置き、2列目に堂安律(伊東)、南野、中島翔哉を並べた攻撃陣が機能して勝利を積み重ねた。監督就任直後には多くの選手を起用して「ラージグループ」の形成を図るのが定石であるのに、森保監督は2列目を固定して戦った。

 それは、2019年1月にアジアカップがあったからなのだろう。

 監督就任から約半年後に行われる公式大会となるので、ワールドカップに出場国で新たに就任した代表監督たちはかなり苦労したはずだ。実際、オーストラリア代表のグラハム・アーノルド監督は記者会見の席で「準備時間の不足」についてぼやいていた。

 だから、森保監督は本来は行うべき「ラージグループ作り」を先送りして、とりあえずアジアカップに向けた代表強化を優先したのだろう。

 実際、アジアカップを終えて2019年に入ると、森保監督は五輪チーム監督の座を兼ねる立場も利用して、数多くの選手を招集してラージグループ作りに着手した。

 2期目を迎えた現在の森保監督は、カタール・ワールドカップも経験し、チーム作りも進んでおり、選手との信頼関係も確立されている。5年前とは状況は大きく異なっている。

 だが、それでもアジアカップを控えた現在、“今のチーム”に大きな変化は加えたくないのだろう。大迫や南野が大物であり、影響力が大きいだけになおさら招集しづらい状況なのだ。

 新たな戦力を加えたことで失敗した実例はいくらでもある。

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