発展を感じた近年から、再び「Jリーグらしい光景」へ【J1の上位陣の争いは、なぜ混戦になっているのか】(1)の画像
終了間際に点の取り合いとなり、神戸は勝点1をつかんだが… 撮影:原壮史

 J1はシーズン後半戦に入っており、争いが激化している。上位では、首位から4位までが勝点6差にひしめく。昨季も優勝した横浜F・マリノス川崎フロンターレが最後までデッドヒートを繰り広げたが、今季はやや趣きが異なる。今シーズン見えてきた新たな流れを、サッカージャーナリスト・後藤健生がつづる。

■上位陣の苦しみ

 8月最後の週末に行われたJ1リーグ第25節は上位チームが軒並み勝点を落とす波乱の展開となった。

 首位を走る横浜F・マリノスは「横浜ダービー」で残留争いに巻き込まれている横浜FCと対戦。開始早々にアンデルソン・ロペスが先制ゴールを決めてリードしたものの、横浜FCは36分に林幸多郎が強烈なミドルシュートを決めて追いつくと、その後もカウンターから得点を積み重ね、なんと横浜FCが4対1というスコアで勝利した。

 一方、横浜FMを追う2位のヴィッセル神戸は東京・国立競技場でFC東京と対戦。

 立ち上がりからゲームを支配したもののミスも絡んでディエゴ・オリヴェイラに先制を許してしまうと、その後は汰木康也のシュートがポスト内側に当たってFC東京のGK野澤大志ブランドンの胸に収まってしまうなどの不運もあって、どうしても同点に追いつけない展開が続いた。

 そして、ゲームが後半のアディショナルタイムに入ると、一気に試合が動いた。

 神戸は90+2分にVARの確認によって獲得したPKを大迫勇也が決めて追いついたのだが、90+10分にはカウンターからアダイウトンに走られて再び先行を許す。しかし、104分(延長戦ではない! アディショナルタイムが18分9秒もあったのだ)に大迫が頭で落としたクロスを山口蛍が思いっきりタメを作ってボレーシュート。これが決まって、神戸はなんとか土壇場でなんとか追いついたのだが、2対2の引き分けに終わった神戸は首位奪還のチャンスを逸してしまった。

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