サッカー女子日本代表が女子ワールドカップ準々決勝まで勝ち進んだ。ラウンド16までの戦いと、ベスト8以降の道のりへ、サッカージャーナリスト・後藤健生が目を凝らす。
■大会の「落とし穴」
さて、「組み合わせなどに恵まれた」と書いたのだが、そうした幸運を見事なまでに生かし切ったことが、これまでの4連勝につながった。
まず、ザンビア、コスタリカという“格下”との試合では、リスク管理を徹底して完璧に、そして確実に勝ち切った。
チーム力に差があり、圧倒的に優位に試合を進められるといった場合、ついつい守備陣が油断してしまってカウンターを許すようなことが往々にしてある。今大会でも、強豪国が“格下”相手に苦戦を強いられる試合がいくつもあった。
その最たるものが、ドイツが韓国と引き分けた試合だろう。
漫然と試合に入ったわけでもないだろうが、ドイツは開始早々に韓国の若きエース、ケーシー・フェアーに抜け出されて決定的な得点機を与えてしまう。その場面はなんとかしのいだものの、6分には再びチョ・ソヒョンを捕まえきれずに先制ゴールを献上してしまう。
そして、前半のうちにアレクサンドラ・ポップのゴールでなんとか同点に追いついたドイツが後半は一方的に攻め続けたものの、最後まで逆転弾は生まれず、もう一つの試合でモロッコがコロンビアを破ったため、FIFAランキング2位のドイツのまさかのグループリーグ敗退が決まったのだ。
だが、日本の守備陣はそんな失態を演じることなく、“格下”相手の2試合でもリスク管理を徹底。ザンビアにはとうとうシュートを1本も撃たせなかったのだ。