大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第117回「試合は何時から?」(1)マラドーナを迎えたシュツットガルトのスタジアムで電光掲示板を埋めた数字の画像
キックオフ時刻の決定も、簡単なことではない(写真はイメージです) 撮影:中地拓也

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト・大住良之による、重箱の隅をつつくような、「超マニアックコラム」。今回は「え? きょうは7時半キックオフじゃなかったの?(by 7時10分に記者席に到着したベテランサッカー記者)」

■大忙しのカタールW杯

 カタールで開催された昨年のワールドカップの前半戦で、少し異常なことがあった。なんと毎日4つもの時間帯で試合が行われたのだ。欧州のリーグのシーズン半ばの11月開催となったことで、大会期間が28日間と、近年の大会になく短くされたためだった。

 ちなみに2018年ロシア大会の大会期間は32日間。ラウンドごとにチーム数が減っていく「ノックアウトステージ」は期間を短縮できないので、カタール大会の短縮日程の「しわ寄せ」は「グループステージ」にきた。ロシア大会では15日間かけて行われた8グループの計48試合が、わずか12日間で行われたのだ。その結果、この12日間はすべて1日4試合という、ワールドカップではこれまでにない日程となった。

 グループステージの最後の1ラウンド、4日間16試合(それぞれのチームにとって第3戦)は、同じ組の試合が同時刻に行われるのでキックオフ時間は2種類となり、18時と22時だった。しかしそれ以前の8日間32試合は、それぞれ午後1時、4時、7時、10時と、4つの時間帯が使われたのである。

 カタールのスタジアムはよく冷房が効いていたから、午後1時時キックオフでもプレーには差し支えなかった。しかし午後10時キックオフというのは…。日本人の感覚からいえば、「ナイトゲーム」といってもキックオフは7時か、せいぜい7時半である。そうしないと、公共交通機関では帰宅できない観客が出る恐れがあるからだ。

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