サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト・大住良之による、重箱の隅をつつくような、「超マニアックコラム」。今回は「え? きょうは7時半キックオフじゃなかったの?(by 7時10分に記者席に到着したベテランサッカー記者)」
■大忙しのカタールW杯
カタールで開催された昨年のワールドカップの前半戦で、少し異常なことがあった。なんと毎日4つもの時間帯で試合が行われたのだ。欧州のリーグのシーズン半ばの11月開催となったことで、大会期間が28日間と、近年の大会になく短くされたためだった。
ちなみに2018年ロシア大会の大会期間は32日間。ラウンドごとにチーム数が減っていく「ノックアウトステージ」は期間を短縮できないので、カタール大会の短縮日程の「しわ寄せ」は「グループステージ」にきた。ロシア大会では15日間かけて行われた8グループの計48試合が、わずか12日間で行われたのだ。その結果、この12日間はすべて1日4試合という、ワールドカップではこれまでにない日程となった。
グループステージの最後の1ラウンド、4日間16試合(それぞれのチームにとって第3戦)は、同じ組の試合が同時刻に行われるのでキックオフ時間は2種類となり、18時と22時だった。しかしそれ以前の8日間32試合は、それぞれ午後1時、4時、7時、10時と、4つの時間帯が使われたのである。
カタールのスタジアムはよく冷房が効いていたから、午後1時時キックオフでもプレーには差し支えなかった。しかし午後10時キックオフというのは…。日本人の感覚からいえば、「ナイトゲーム」といってもキックオフは7時か、せいぜい7時半である。そうしないと、公共交通機関では帰宅できない観客が出る恐れがあるからだ。