■横竹が離さなかったパイナップル

 この様子は、SNS上で多くのコメントを呼んだ。その多くが、両チームの選手とサポーターを称えるもの。そして、サッカーや天皇杯の素晴らしさに感銘を受けたものだ。

「こういう光景が増えて欲しいなぁ。試合中は憎くても、試合が終わったらノーサイド」
「素敵な光景」
「ちょっと泣きそうになった…。」

 このやり取りが、試合翌々日の4日になっても川崎サポーターが高知遠征に行った思い出を投稿させる要因の一つとなっている。

 そうしたやり取りがあった後、会場で本誌記者は横竹に聞いてみた。当事者にすれば突然だったに思えるパイナップルをもらって、どう思ったのかと。

 それまで神妙な面持ちを見せていた横竹は質問を聞いた途端、「いやあ(笑)」と屈託のない笑顔を見せた。そして、こう口を開いた。

「ふだんは、フロンターレの選手にあげているっていうのを聞いたので、それを自分たちにくれたというのは認めてくれたというか、称えてくれたと思うので、自信を持ってこれからのリーグ戦につなげていきたいなと思います」

 「率直に悔しいですね」と試合結果について振り返った選手自身にとっても、特別な思い出となっていた。実際、試合終了からかなりの時間が経っていたにもかかわらず、一度、ロッカールームに入っていたと思われるタイミングなのだが、それでもずっと胸にパイナップルを抱えていたのだ。

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