香川真司らが伝えるプロサッカー選手の「本来の姿」【Jリーグと選手のレベルアップに必要な「欧州との往“来”」】(2)の画像
復帰した香川はC大阪に多くをもたらしている 撮影:中地拓也

 30周年を迎え、Jリーグは進化を続けている。ヨーロッパへと羽ばたく選手は増えたが、次の段階に進むために必要なことがあると、サッカージャーナリスト・大住良之は考える。一方通行で「往」くだけではなく、戻って「来」るという、「往来」を活性化させることである。

■ピッチ内外での貢献

 もうひとつ、「帰国パワー」を生かしているのが、鹿島アントラーズだ。キャプテンとして牽引している鈴木優磨(27歳、2019年から2021年までベルギーで活躍)は今季の20試合で8ゴールを挙げているだけでなく、前線でのハードな動きとターゲットマンとしての能力で完全にチームの柱となっている。

 そしてDF陣には、一昨年の夏にポルトガルから戻ってきたDF安西幸輝(28歳、2019年から2021年までポルトガルで活躍)に加え、今季はDF植田直通(28歳、2018年から2022年までベルギーとフランスで活躍)、さらに直接にはガンバ大阪からの移籍ながら、欧州での経験をもつDF昌子源(30歳、2019年にフランスで活躍)を加えた。センターバックは、センターフォワード(多くのクラブで外国人プレーヤーがポジションを占めている)とともにJリーグで最も手薄なポジションと言われている。そこに植田と昌子を加えたことで、鹿島の戦いは非常に安定した。

 もうひとり忘れてならないのは、セレッソ大阪のMF香川真司(34歳、2010年からドイツ、イングランド、トルコ、スペイン、ベルギーで活躍)の存在感だ。ドイツのボルシア・ドルトムントブンデスリーガ優勝に導いたころの輝きや、イングランドの名門マンチェスター・ユナイテッドで攻撃の一翼を担ったころの華やかさはないものの、卓越したテクニックとゲームの読みで今季のC大阪ではボランチとしてプレー、新境地を開いている。2010年代に本田圭佑とともに日本を代表するトップスターだった香川だけに、C大阪のホームゲーム入場者数も3割以上アップし、この面でも大きく貢献している。

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