30周年を迎え、Jリーグは進化を続けている。ヨーロッパへと羽ばたく選手は増えたが、次の段階に進むために必要なことがあると、サッカージャーナリスト・大住良之は考える。一方通行で「往」くだけではなく、戻って「来」るという、「往来」を活性化させることである。
■浦和の今夏の新戦力
2018年に「第1期森保ジャパン」がスタートした時期に日本代表の圧倒的なエースだったFW中島翔哉(28歳、元アンタルヤスポル=トルコ)の獲得に、浦和レッズが動いているという報道があり、話題になっている。
中島は東京ヴェルディのアカデミーで育ち、東京VとFC東京などでプレーした後、2017年にポルトガルのポルティモネンセに移籍、欧州と中東の5クラブを渡り歩いて活躍してきた。小柄ながら切れ味鋭いドリブル突破とシュート力をもち、本来の力を発揮さえすればまだまだ日本代表を狙えるタレントである。
浦和はベルギーのMSKデインズに期限付き移籍していたDF宮本優太(23歳)が6月に復帰しており、今月にはいって2019年からスペインのFCバルセロナBでプレーしていたMF安部裕葵(24歳)との契約を結んだ。FWホセ・カンテ以外の3人の外国人アタッカー(ダビド・モーベルグ、ブライアン・リンセン、アレックス・シャルク)が事実上「戦力外」となっているいま、新しい外国人アタッカーの補強が急務とされていた浦和だが、安部に加えて中島が攻撃ラインにはいることになれば、大きな戦力アップにつながるだろう。
浦和には、すでにDF酒井宏樹(33歳、2012年から2021年までドイツとフランスで活躍)、MF関根貴大(28歳、2017年から2019年までドイツとベルギーで活躍)という「欧州帰り」の選手がいる。浦和だけでなく、多くのクラブで欧州から戻った選手が活躍している。「Jリーグから欧州リーグを経て、再びJリーグで活躍」は、いまや大きなトレンドになろうとしている。