■DFと違う立場

 2019年のルール改正で、ゴールキック時の「インプレーとなる瞬間」が変わった。それまではボールがペナルティーエリアを出たときにインプレーになっていたが、それが「けられて明らかに動いたとき」にインプレーになることになった。それによって、ペナルティーエリア内の左右にDFが立ち、GKからパスを受けてビルドアップを始めるチームが増えた。

 こうした状況を含め、現代のGKたちは以前と比較すると1試合のボールタッチ数がはるかに多くなり、その多くは守備時ではなく攻撃時、すなわち味方がボールを保持しているときとなっている。2022年ワールドカップでオランダ代表のGKコーチを務めたフランス・フックは、「これからは『ゴールキーパー(GK)』ではなく『ゴールプレーヤー(GP)』と呼ぶべきだ」と主張している。

 しかしGKのほんのわずかなミス、判断の遅れは、即座に決定的なピンチ、そして失点へとつながる。西川周作の「トラップミス」は、どんなに優秀なDFでも1シーズンに1回は経験するものだ。DFならすぐにターンしてGKにバックパスすることもできる。しかしそれがゴール前のGKの場合、失点に直結してしまうのだ。

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