サッカーは時代とともに進化していく。近年の大きな変化はGKのプレーだ。「ゴールキーパー」ではなく「ゴールプレーヤー」と呼ぶべきだと主張する声も上がるポジションについて、サッカージャーナリスト・大住良之が深掘りする。
■GKが負うリスク
さて、過去10年間で最も先鋭的なGKといえば、バイエルン・ミュンヘンとドイツ代表のマヌエル・ノイアーだろう。彼は「ゴールラインのプレー」でも世界最高クラスの能力をもっているが、ペナルティーエリアを出ても大胆なプレーを見せ、フィールドプレーヤーが11人いる、フットサルの「パワープレー」のような状況をつくりだす。バイエルンでのプレーでは、とくにその傾向が強い。
もちろん、ブンデスリーガで2011/12シーズンから11連覇というバイエルンの圧倒的強さが背景にある。緊迫した状況の試合では、相手陣までドリブルし、さらにひとりをかわしてクロスパスを送るというようなプレーはしない。すなわち、彼が「フィールドプレーヤー」としての派手な役割を演じるときには、点差が開いている場合であり、「勝敗」という観点から見れば何の「リスク」もないのである。