後藤健生の「蹴球放浪記」第168回「戦車に違和感がないロストフの街」の巻(1)なぜワールドカップで日本代表は遠隔地をめぐるのかの画像
日本対ベルギー戦の入場券 提供/後藤健生

 ウクライナに侵攻しているロシアの混乱は、日本のテレビ番組でも連日報じられている。国際ニュースをチェックする蹴球放浪家・後藤健生の目に、馴染みある町が映った。2018年に日本代表が悲劇に見舞われた「ロストフ・ナ・ドヌー」である。

■サッカー・ファンに馴染みの町

 6月24日にロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者エフゲニー・プリゴジン氏が反乱を起こし、ワグネルの部隊はロシアの首都モスクワまで200キロ地点まで迫ったと伝えられましたが、その後、進撃を中止。プリゴジン氏は隣国ベラルーシに入ったと伝えられています。

 ウクライナ領内にいたワグネルの部隊は国境を越えてロシア南部ロストフ州のロストフ・ナ・ドヌーに入り、ロシア軍南部軍管区司令部を占領したそうです。ロシア軍の拠点がなぜ何の抵抗もなく占領されたのでしょうか? 不思議なことばかりです。

 所詮は悪党同士、大ウソつき同士の内輪もめですから、真相が明らかになるのはずっと先の話でしょう。

 ところで、日本のサッカー・ファンなら誰しもが「ロストフ・ナ・ドヌー」と聞いて反応したことでしょう。

 そう、2018年のロシア・ワールドカップのあのベルギー戦が行われた町です。FCロストフには、橋本拳人が2020年から1年半ほど所属していました。

 ロストフ・アリーナでの試合で、日本は原口元気乾貴士のゴールで2点をリードしましたが、ベルギーのパワープレーで同点に追いつかれます。そして、終了間際に日本のコーナーキックをキャッチしたGKのティボ・クルトワが起点となった高速カウンターで失点して日本は逆転負けを喫しました。

 あの頃の日本は、強豪相手に2点をリードするという“想定外”の事態に対応しきれませんでした。今の日本代表だったら、2点のリードをうまく守り切って勝利していたことでしょう。

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