■ゴールの起点となったパスカット
セネガル戦の前半の入り方は素晴らしかった。
この日の日本の布陣で目を引いたのは、右サイドバックとして屋敷優成(大分トリニータ)ではなく高井幸大(川崎フロンターレ)を起用したことだった。セネガルは両サイドアタッカー、とくに左(日本の右)サイドのサンバ・ディアロが最大の攻め手だったが、そのサンバのサイドを守備力のある高井で封じようという意図だったのだろう。
前半の途中までは左サイドバックの高橋仁胡(FCバルセロナ)は高い位置まで進出して再三攻撃に絡んだが、高井は“専守防衛”に徹した。
ただ、高井は本来はセンターバックの選手だけに、ドリブルへの対応は難しそうだったし、高井が攻撃をサポートする回数が少なかったため、右サイドハーフの永長鷹虎(川崎)は孤立してしまい、テクニックを発揮できず、前半だけで交代となってしまった。
従って、日本の攻撃は左サイドが多くなった。
9分にはCKからつないで福井太智(FCバイエルン・ミュンヘン)の入れたクロスにCFの熊田直紀(FC東京)が、11分にも流れの中から佐野航大(ファジアーノ岡山)からのクロスに松木がそれぞれ頭で合わせたが、熊田のシュートはGKの正面を突き、松木のシュートは右ポストをかすめた。
しかし、15分には相手のクリアボールを高井がカットしたところから、永長、福井、そして松木と素早く横パスを通して展開。この横の展開に対してセネガルの守備陣がうまくスライドできず、DFのポジショニングがズレて松木の前に大きくシュートコースが開いた。そして、松木がこれを見逃さず、左足でゴール右下隅に突き刺した。
日本は前線からしっかりと相手にプレッシャーをかけ、中盤でボールを奪ってからすぐに展開してチャンスを作る狙い通りの攻撃ができていたが、前半のうちに追加点を奪うことができなかった。