■「個人としてJ1に残り続けていることを進化として見せなければ」
“特別な想い”を感じるのは、移籍時に置かれた状況もある。川崎加入が決まったのは、横浜FCのJ2降格が決まったあとのこと。「僕はチームを降格させてチームを出てきてしまっているので、個人としてJ1に残り続けていることを進化として見せなければいけない」と話し、「それを許してもらった身でもあるので、そこはプレーで表現していきたい」と続けるのだ。
舞台となるニッパツ三ツ沢球技場は、ピッチから観客席までが「本当に近い。最前列にいるお客さんは顔も見える」なだけに、「僕が在籍していた頃は心地よさというか、良い意味でも悪い意味でも直接声が届くので、“プレーしているなぁ”と感じ」たという。
しかし、臆する気持ちはない。横浜FCは直近3試合で2勝している事実もあるが、「勢いはついているかもしれないが、そこで自分たちが受けにならずに、逆に自分たちがそれを圧倒できるぐらいやっていきたい」と言葉にするからだ。
瀬古個人としては、前節のFC東京戦でアシスト。「常に顔を上げてプレーすることを意識している」結果であり、「そういうのを逃さずやっていけば、自然と味方も生きるだろうし、僕も数字が残ると思う」と手応えを掴んでいる。
「気を使ってプレーするのが僕の仕事」と話す仕事人が、成長した姿を懐かしきピッチの上で見せつける。