■「腹が立っていたんで」
今季はキャプテンマークを巻いてプレーする機会も多く、ゴール数もすでにJ1得点ランク2位タイの7得点をゲット。「ここ一番で点の取れる男」だということを自ら実証している。その勝負強さは歴代の名FWたちに通じる部分だろう。
反面、ストレートな物言い含めて喜怒哀楽が前面に出るところは、さまざまな先人たちと異なる部分かもしれない。
Jリーグ30周年スペシャルマッチと位置づけられた14日の名古屋グランパス戦(東京・国立)でもそういったシーンがあった。前半12分に樋口雄太の右CKをヘッドで合わせた先制点がVAR判定で取り消されたことを不服に感じた背番号40は、前半29分に自ら奪った真の先制弾の場面で木村博之主審を睨みつけるようなパフォーマンスを披露。物議を醸した。さらに試合後のミックスゾーンでも「腹が立っていたんで」とストレートに発言。メディアを驚かせたのである。
4月15日のヴィッセル神戸戦後に罵声を浴びせたサポーターに対して「まだ巻き返せる」と大声で叫ぶなど、思ったことをハッキリと口にしたり、闘争心を前面に押し出すところは鈴木優磨の大きな魅力だ。しかし、その行動が誤解されがちな部分もある。
かつて所属したシントロイデンの関係者は「優磨はそういったパフォーマンス含めてサッカーを盛り上げようとしている人間」と語っていたが、その見方通り、彼は意外とサービス精神旺盛なタイプなのかもしれない。
注目される人間というのは賛否両論がついて回る。鈴木もそれを分かったうえで行動しているようにも感じられる。
(取材・文/元川悦子)