■「強い相手とやることを楽しんでいる」

 高井について鬼木監督は、「やってやろうっていう気持ち」が強いと話す。試合に1回出れば、「このチャンスを逃さないように」という思いを前に出してプレーしているという。しかも、「試合に出る前から自信は持っていましたよ、たぶん。彼はそういうタイプなんで」とも話した。

 加えて、試合に出続けることで、「より自信を確信に変えていっている感じはあります」。「本当にいいメンタリティを持っている。強い相手とやることを楽しんでいるというか、Jリーグの中でもそういう感じをすごく受けるので、頼もしい」。リーグ優勝4度を誇る鬼木監督にそう思わせるほどの高井から発せられる雰囲気は、相手にとっても嫌なことであり、「おどおどしていないのは、ディフェンスの選手にとって大事なこと」とも分析する。

 ちなみに、試合のピッチの上での姿とは違って、練習場での高井は常にひょうひょうとしていて、猪突猛進や遮二無二といった言葉で表されるような、分かりやすく気持ちの強さを出すタイプではない。鬼木監督が、強い気持ちと何度か言葉にしていたので、それについて聞いてみたところ、「その感じです。その飄々とした感じ」と笑顔を見せたうえで、次にように言葉を続ける。

「18(歳)ですからね。そこがやっぱりすごいんじゃないですか。ふつうはいろんなことを考えてしまうと思うんですよね。チームの状況とか、若い選手はそこまでは考えないにしても、たとえば力のある選手と一緒にゲームに出てるか、とか。グラウンドの中に入れば、先輩や後輩はないですけど、それでもやっぱり気にしちゃうのが人間だと思うんですよね。でも、そういうものも気にせずやれているというか。そこは彼の一つの特徴かなと思う」

 5月9日の練習後にU-20ワールドカップに向けての気持ちを高井に聞いていると、フイに永長鷹虎と「お菓子をいっぱい持っていこう」と話していたこと明かし、報道陣の笑いを誘った。大舞台を前にも平静を保てていることが、この一例にも表れている。ちなみに、高井がすでに持っていくと決めているのは『ルマンド』。『コアラのマーチ』(ロッテ)も一緒に挙げてほしかった筆者が、小さく思えてしまった。

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