■「正直、(自分の中の)炎が消えかけた」

 201819シーズンのボルシア・ドルトムントで事実上の構想外になって以降、香川はベシクタシュ、サラゴサ、PAOK、シントトロイデンでコンスタントにピッチに立てない日々が続いた。特にギリシャでの苦境は想像を絶するものがあり、本人も「正直、(自分の中の)炎が消えかけた」と本音を吐露する。「ただ、どんな苦労があっても自分が決めたことは意地でも通したかった。最終的には自分の中の戦いかなと思っていました」と苦しかった時間をしみじみ述懐していた。

 それを乗り越えたからこそ、今がある。セレッソの小菊監督や、中盤を形成する奥埜博亮原川力らから絶大な信頼を寄せられながら堂々とピッチに立てる。その充実感は、若かりし日にセレッソでプレーしていた頃とは全く違うはず。34歳になった背番号8からは支えてくれる人々への感謝の思いも感じられるのだ。

(取材/分 元川悦子)

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