■「ボールを握れば、チャンスは増えてくる」

 車屋は、シーズン前から攻撃についての意識を高めていた。キャンプ中、そして、その後の取材時にも、自分のプレーをいかに得点に結びつけるかについて発言を重ねていた。偽SBについて練習している際も、質問をすれば攻撃面でのメリットが何度も出てきた。実際、練習試合ではボールを握って、得点も重ねた。新しいチャレンジは、大きな可能性と手応えを示していた。

 しかし、現時点での川崎は当時とは戦い方を変えながら試行錯誤を重ねている。選手としては難しい部分もあるが、それも受け止める余裕と、修正していこうとチームを引っ張る覚悟が背番号7にはある。

「キャンプでは視来を中に入れたりとか(うまく)やってましたけど、(シーズンが始まってからは)なかなかうまく行かないシーンが多くて。試行錯誤しながら、でも、キャンプでやってきたことがすべて正解だとは思わないですし。シーズンに入ってうまく改善しながらやろうとしている段階だと思うので、今、4-2-3-1でより後ろの安定感という、ボールを前に(運ぶ)安定が出ていると思うので。それをしっかりやってボールを握れば、チャンスは増えてくると僕は思っている」

 そして、そのチャンスを増やすために「最後にもう一つ入っていくところにチャレンジのパスを出すだとか、クロスに何人が入って行けるかとか、そういうところがこれまでの僕たちの課題」と、修正すべき箇所を明確にした。

「それが清水戦でうまくいって、浦和戦でもそれを出せれば良かったんですけど、ボールを握る支配率でも負けていましたし、あの支配率をしっかりと自分たちが出せる状況に持ってきて、なおかつチャンスに最後、ボランチの選手がリスクを負って上がっていくだとか、逆サイドの選手が入っていくだとか、そういうシーンが増えていければ、厚みのある攻撃ができるんじゃないかなと思います」

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