■「勝ちたいという気持ちを出すのはすごく大事」
チャレンジする重要性や人数をかける必要性、そして、リスクを負う覚悟。これを引き出すためにキーとなるのが、メンタルだ。
「キャンプでの練習試合と公式戦では違った緊張感とかがある」とその明確な違いを説明したうえで、
等々力での清水戦を例に挙げて、「足元だけじゃなくて裏へのボールだとか、消極的だったところから最近は積極的なプレーができている」とし、このような積極性をリーグ戦でも「出せればルヴァンみたいな試合ができる」と語るのだ。
このメンタルについて、「なかなか結果がついてこなかったりすると消極的になったり」という部分を感じており、「勝てないチームはそういう風になっちゃうのかな」とも言うが、だからこそ、「なにかそこの殻を破って、積極的にやるというのは大事」と説く。
ここまで話を聞いたうえで車屋に尋ねたかったのは、今シーズンのピッチ上での振る舞いだ。昨季以上に感情や気持ちを出す部分が増えており、筆者の邪推であるが、それはチームに喝を入れるように、声と姿勢でチームをけん引する覚悟のように見えていた。
それについて意識してのことか聞くと、「意識は特にしてないですけど」としたうえで、次のように説明した。
「勝ちたいという気持ちを出すのはすごく大事なことだと思いますし、今まで引っ張ってくれた選手たちが何人も抜けて、今、自分たちがやらなければいけない立場にあると思っているので。技術的なところとか体力的な面で勝てないのであれば最後は気持ちでカバーしなければいけないと思っているので、全員でやらなければいけない大事なことかなと思っています」
今年1月、川崎の選手とスタッフが商店街を回った。その際、地元の人々と触れ合いながら歩く車屋に今季への意気込みを聞いたところ、似たような答えが返ってきたことを思い出した。そのメモを見返して、背番号7が今季に懸ける思いの伏線を回収できたことを感じた。
そんな車屋紳太郎のここ2試合の相棒になっているのは、18歳の高井幸大である。その高井や、上福元直人についても聞いてみた――。