大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第103回「おお、芝生!」(1)日本代表に続き、浦和レッズを待ち受ける「埼スタピッチの恩恵」の画像
2001年完成直後の埼スタ。地中温度を管理することで寒地型の芝生を導入し、2002年ワールドカップでも高い評価を受けた。(c)Y.Osumi

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト・大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回のテーマは「ミスター・ピッチ」。

■埼玉スタジアムへの帰還

 昨年のシーズン終了後にスタートした埼玉スタジアム(埼スタ)の芝面全面改修工事が完了し、いよいよ使用が再開される。最初の試合は4月15日のJリーグ第8節、浦和レッズ×コンサドーレ札幌だ。

 2001年に落成し、2002年ワールドカップでは準決勝(ブラジル×トルコ)の舞台となった埼スタ。南北のスタンドに屋根がかかっていないことで日照と風通しが確保され、メンテナンスチームの丹精をこめた整備もあって、ピッチは非常に良好な状態を保ってきた。

 2001年から2016年まで16年にわたって実施されたJリーグの「ベストピッチ賞」では、4回(2005、2009、2013、2016)にわたって表彰を受けている。これは、静岡市所有の「IAIスタジアム日本平」の9回、新潟県所有の「デンカビッグスワンスタジアム」の6回に次ぎ、横浜市所有の「日産スタジアム」と並ぶ多さだ(2009年以降は単年に複数スタジアムが表彰され、延べ表彰数は37スタジアムにのぼった)。

 だが完成から20年以上がたち、その間におそらく1000を超す試合が行われ、ピッチに劣化が目立つようになった。部分的な芝生の張り替えが繰り返された結果、凹凸も目立つようになっていたという。何よりも懸念されたのは、水はけ能力の低下と芝生管理のための設備の経年劣化だった。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4