国際サッカー連盟(FIFA)は、その名の通り国際大会を運営する組織である。今では代表チームだけではなくクラブ世界一を決める大会FIFAクラブ・ワールドカップ(FCWC)までも運営している。だが、代表チームも含めたワールドカップは無謀な肥大化を続ける。この現状に、サッカージャーナリスト・大住良之が警鐘を鳴らす。
■FIFAの役割
そもそも1904年に創立されたFIFAという組織は、「国際選手権の開催」を最大の目標とするものだった。しかも当初予想されたのは今日のワールドカップのような「代表チームの世界選手権」ではなく、クラブチームによる大会だった。しかし当時のFIFAにはそんな大会を開催する資金力も実行力もなく、後援するはずだった新聞社が手を引いたことで暗礁に乗り上げた。そして1908年のロンドン・オリンピックからサッカーが正式種目になったことで、それが「世界選手権」に相当すると、当面は静観することになったという経緯があった(当時、イングランド以外はすべてアマチュアの時代だった)。
フランス人会長ジュール・リメの奔走によって1930年に代表チームによる「ワールドカップ」が実現し、たちまち世界のサッカーの寵児となると、FIFAはその運営に集中するようになる。
1955年に始まった欧州チャンピオンズカップ(現在のUCL)に続き1960年に南米のチャンピオンクラブを決める「リベルタドーレス杯」が始まったことで、1960年から欧州と南米のチャンピオン間で「インターコンチネンタル・カップ」が始まった。その後、FIFAはこの大会に他地域のチャンピオンを加えてFIFA主催で「クラブ・ワールドカップ」を開催することを何回か提案したが、欧州側からの拒否で実現しなかった。
インターコンチネンタル・カップはその後「トヨタカップ」となったが、FIFAは直接関与はしなかった。すなわち、「FIFAは代表チームの大会だけに関与し、クラブの大会は開催しない」というのが、1世紀近く続いてきた形だった。