サッカーはワールドワイドなスポーツへと成長した。一方で、本場のヨーロッパを中心に均一化している面もある。その中で、日本は日本らしさを貫くことが強化へのヒントになるかもしれない。久保建英のプレーが示唆する可能性を、サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。
■不満顔のMOM
レアル・ソシエダの久保建英が絶好調で、2月18日のセルタ戦(ラ・リーガ第22節)では3試合連続となるマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)に選出された。
もっとも、セルタ戦でのMOM選出は久保にとってはいささかほろ苦いものだった。
1対0でリードしていたソシエダが後半のアディショナルタイムにオウンゴールで追いつかれて引き分けに終わってしまったからだ。
久保は77分にゴール右サイドでフリーの状態でパスを受けたが、いったん止めてDFを引き付けてから放ったシュートはポストの右にはずれてしまった。あまりにもフリーだったので、考えすぎてしまったのではないだろうか。
そして、その直後に久保は交代となった。
この場面の直前にはセルタのMFレナート・タピアが退場になっていたので、ソシエダは数的優位の状態だったので、久保は“お役御免”の交代だったのだろう。あとはそのまま逃げ切って勝点3を確保すればよかったのだ。だが、最後の最後に追いつかれてソシエダは勝点2を失うこととなってしまった。
もし、あの決定機の場面で久保が決めて2点差としていれば数的優位のソシエダの勝利は確実だったはずなので、久保はある意味で“戦犯”視されていてもおかしくなかった。試合終了直後に抜かれた映像でも、久保はベンチで悔しそうな表情を隠そうともしなかった。その姿がすべてを物語っていた。