■圧倒的な久保の技術

 日本では、MOMは「殊勲選手」的な意味で送られることが多い。つまり、決勝ゴールを決めた選手やPKをストップしたGKなどである。そうした日本的な考え方からすると、久保はMOMには選ばれなかったのではないか。

 だが、スペインではやはり技術的に最も輝いた選手が選ばれるのだ。

 セルタ戦での久保は前半の4分にハーフライン付近でこぼれ球を拾うとドリブルで運び、絶妙のタイミングと絶妙のスピードのスルーパスを送ってオヤルサバルの先制ゴールをアシストした(ゴールが決まったのは5分)。さらに、その後も久保はアシストになってもおかしくないようなスルーパスを何度も出している。

 いずれにしても、この試合で久保が技術的な意味では圧倒的な存在感を放っていたことは間違いない。

 そういえば、第20節のバジャドリード戦ではソシエダードは0対1で敗れたにもかかわらず、久保がMOMに選ばれている。

 そんな、3試合連続MOMの中でも白眉となったのが、2月13日のエスパニョール戦でのゴール。素晴らしい先制ゴールだった。

 あのシュートを「ボレーシュート」と表現しているメディアが多いようだが、逆サイドから流れてきたボールを久保自身が意図的に浮かせてコントロールし、空中に静止している状態のボールを左足で叩いたもので、「ボレー」という表現は正しくないような気がする。

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