■重要な選手たちの肌感覚

 今回の視察で、森保監督は昨年のワールドカップに参加した選手たちと面談を繰り返した。

 ワールドカップを振り返って成果や課題を整理するための作業の一環なのだろう。ワールドカップでの戦いを通じて監督として森保自身が感じたことと、選手たちが感じたことの一致点や相違点を現段階で見つめ直しておくのは有意義なことだ。

 カタール・ワールドカップでは、森保監督は選手たちの意見を取り入れて戦い方を変更した。

 選手たちがピッチ上で感じたことをチーム作りに生かしたわけである。また、日常的にヨーロッパのクラブで戦っている選手ならではの肌感覚も重要な情報だった。

 そうした中で、森保監督はヨーロッパの選手たちが置かれている環境や彼らの日常の戦いぶりをもっと深く知る必要を感じたことだろう。

 各国リーグでのハイレベルな試合に臨むために、各クラブの監督からの緻密な戦術的要求に従って戦っている選手たち。その実情を見ておくことが必要だった。

 カタール・ワールドカップを控えた時期に新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大したため、海外渡航が自由に行えない時期があった。海外渡航ができたとしても、帰国後の隔離期間には活動が制限されてしまうのでやはり海外渡航は難しかった。森保監督自身も「海外視察が自由にできない」ことへのもどかしさを感じていたのではないだろうか。

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