■ドイツに構えた拠点
そうした意味でも、2期目の代表活動をスタートさせる前に落ち着いた状態でじっくりとヨーロッパでの視察が行えたことは大きな意味を持つ。
日本人選手の価値が向上すれば、ヨーロッパのクラブも代表監督の視察にしっかりと対応してくれるようになる。また、昨年のワールドカップで積極的な選手交代を使ってゲームの流れを変えることでドイツやスペインを破ったことによって、森保監督自身の知名度も上がったはずだ。森保監督は、今では「まったく無名の東洋人指導者」ではないのだ。
そうした意味でも、森保監督はヨーロッパ視察を通じてクラブでの戦い方をより深く知ることができるようになっているはずだ。
こうした視察を行いやすくなった一つの理由に、日本サッカー協会がドイツ・デュッセルドルフに事務所を構えたことがある。
デュッセルドルフ事務所の駐在職員を通じて日常的に各国クラブと情報交換ができるようになったため、選手の情報も取りやすくなった。
昨年のワールドカップに際して、負傷を抱えてクラブの試合に出場できないでいた選手を招集できたのは、しっかりとした情報収集ができていたからこそだ。実際、たとえばドイツ戦で同点ゴールを決めた浅野拓磨など、負傷明けの選手たちはワールドカップで活躍した。
海外クラブとの日常的な接触の積み重ねがあれば、監督の視察もよりスムーズに行うことができる。