■当事者意識をいかに喚起するか

大住 スターがいないからと言い訳していたら、Jリーグは永遠にプレミアリーグスペインリーグにはなれない。どうしたら地元のファンをワクワクさせ続けられるのか、すべてのことを、そこを基準に考えてほしい。

湯浅 ワールドカップでの日本代表の活躍からのフィードバックがあるんじゃないかな。絶対にあきらめないとか、全員がハードワークするというようなことは、きっとファンにも通じると思うよ。

大住 サッカーって、結果だけなら「ああそうか」程度。ハイライトで得点シーンを見たら、「かっこいいな」と思う。でも生で90分間見たら、絶対に「すごいな」と感動すると思うんだけど…。

湯浅 ウインドーショッピングとサッカー、どっちに行くか迷うような一般のファンは、「90分間」に引っぱってくるのが大変だよね。

大住 選手たちはハードワークの楽しさがわかって、Jリーグのサッカーは着実に良くなっている。でも、「私たちはこんな素晴らしいサッカーをしています。見てください」というようなスタンスでは、Jリーグに関心を集めることなどできない。

 湯浅さんが言うように、自分の地元のクラブにもっともっと参加意識、当事者意識をもってもらうようにしなければ。「自分たちのクラブなんだから、応援しなくてどうするんだよ」というような雰囲気をもっとつくり出さなければならない。

 川崎フロンターレが強くなったのは、そうした地元のファンとの関係づくりに心血を注いできたからにほかならない。湘南ベルマーレだって、あの経営規模でもう6シーズンもJ1で戦い続けていられるのは、地元のファンが「おれが行かなきゃ」と思うようになったから。

湯浅 本当にそうだよね。こうした本質的な話をもっともっとしなければならないね。

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