■Jリーグの盛り上がりに必要な要素
大住 さて、そのワールドカップを踏まえてのJリーグという話なんだけど。いろいろ読むと、「ワールドカップのようにインテンシティを高くできるか」というような話が多い。湯浅さんはどう思う?
湯浅 中村憲剛が母校で話をしたとき、「サッカーに興味はありません。ワールドカップは面白かったけど。4年後が楽しみです」と言われたという。こうしたマインドを変え、Jリーグに興味を抱かせるためにどうしたらいいのかと考えた。
大住 その問題は深刻だよね。
湯浅 まずサッカーのメカニズムを知らなければならない。イレギュラーするボールを足で扱うゲーム。瞬間的に状況が変わり、不確実性が高い。最後は一人ひとりが自分の考えや判断でプレーせざるをえない。だから仕事を探しなさい、ハードワークを探しなさいというのが基本だよね。それが絶対的なベースになればいい。
大住 メッシだって、エムバペだってミスをするし、思いどおりにいかないことが多い。
湯浅 だから「監督の仕事とは、選手たちがハードワークを主体的に探すような姿勢にすること」ということになる。
大住 それが本当に大変なことなんだよね。
湯浅 大変だよ。だって疲れるんだもん。誰もやりたくないことをやらせる。守備だったらボールを奪い返すために何をするか、自分で探す。攻撃だったらいかにスペースをつくり、使うのか、イメージを共有する。トレーニングっていうのは、そのためにある。
大住 インテンシティだ何だって表面的な話ではなく、そういう選手の姿勢、姿勢というか生き方を、プレーの上で貫き、表現してほしいということだよね。
湯浅 そのとおりだよ。プロとしてのプライドがあるなら、誰でもいやがることを主体的にやったら尊敬されるよ。何よりも、プロならそういう気持ちにならなければならない。