日本を覆いつつあるJリーグ「ワクワクする対象は2つある。サッカーのメカニズムと“おらが村”意識」【カタール2022からJリーグは何を学ぶか~湯浅健二さんとの対話~】(3)の画像
川崎はJリーグが秘めるポテンシャルを最大活用している好例だ 撮影:中地拓也
 日本サッカー界に、異端児がいる。欧州でプロクラブの監督をできるライセンスを持ちつつ、マーケティング会社を経営し、メディアの世界でも活躍してきた湯浅健二さんだ。サッカージャーナリスト・大住良之が、ワールドカップと新シーズン開幕が迫るJリーグをテーマに独特の視点からの貴重な意見を聞きだした。

■Jリーグの盛り上がりに必要な要素

大住 さて、そのワールドカップを踏まえてのJリーグという話なんだけど。いろいろ読むと、「ワールドカップのようにインテンシティを高くできるか」というような話が多い。湯浅さんはどう思う?

湯浅 中村憲剛が母校で話をしたとき、「サッカーに興味はありません。ワールドカップは面白かったけど。4年後が楽しみです」と言われたという。こうしたマインドを変え、Jリーグに興味を抱かせるためにどうしたらいいのかと考えた。

大住 その問題は深刻だよね。

湯浅 まずサッカーのメカニズムを知らなければならない。イレギュラーするボールを足で扱うゲーム。瞬間的に状況が変わり、不確実性が高い。最後は一人ひとりが自分の考えや判断でプレーせざるをえない。だから仕事を探しなさい、ハードワークを探しなさいというのが基本だよね。それが絶対的なベースになればいい。

大住 メッシだって、エムバペだってミスをするし、思いどおりにいかないことが多い。

湯浅 だから「監督の仕事とは、選手たちがハードワークを主体的に探すような姿勢にすること」ということになる。

大住 それが本当に大変なことなんだよね。

湯浅 大変だよ。だって疲れるんだもん。誰もやりたくないことをやらせる。守備だったらボールを奪い返すために何をするか、自分で探す。攻撃だったらいかにスペースをつくり、使うのか、イメージを共有する。トレーニングっていうのは、そのためにある。

大住 インテンシティだ何だって表面的な話ではなく、そういう選手の姿勢、姿勢というか生き方を、プレーの上で貫き、表現してほしいということだよね。

湯浅 そのとおりだよ。プロとしてのプライドがあるなら、誰でもいやがることを主体的にやったら尊敬されるよ。何よりも、プロならそういう気持ちにならなければならない。

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