だが15歳のペレは小さく、そして何よりも細かった。体重はわずか50キロだったという。ルラ監督はペレをアマチュアチームに入れ、練習はトップチームとさせるようにした。サントスはルラの指導でめきめきと力をつけてきていた時期だった。そのルラがスタッフに何よりも求めたのは、ペレにトレーニングとともに栄養とカロリーたっぷりの食事をさせることだった。

 ペレは日ごとに力をつけた。そして3か月後の1956年9月7日、16歳の誕生日を1か月半後に控えたときにサントスの1軍にデビューする。そして後半25分から20分間のプレーで1点を挙げ、ルラの目が確かであることを証明した。

 この年の出場はこれ1試合だったが、16歳で迎えた翌年にはレギュラーとなって41得点をマーク、7月にはリオのマラカナン・スタジアムで行われたアルゼンチン戦でブラジル代表にデビュー、1-2で敗れたもののブラジルの1点を記録した。

 さらに翌年、1958年の6月には、ペレはワールドカップの舞台に立っていた。ペレの夢のようなゴールでブラジルは初優勝を飾り、バウルからサントスに移ってわずか2年、サッカーシューズさえまともに買えなかった少年は、世界のナンバーワンプレーヤーになっていたのだ。

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