■ちぐはぐな会場設定

 無料にすることで観客を集めるのではなく、金を払ってでも観戦に来てもらえるような魅力的なイベントにしていくことがプロの本来の仕事なのではないか。

 プロ・スポーツとして確立するということは、つまり観客を動員して、スポンサーを集めて、自分たちで資金を集めてクラブ経営ができるようにすることだ。しかし、WEリーグの観客数も多い試合で2000人程度。これではクラブ経営が成り立つはずもない。

 皇后杯も含めて、どのようにして観客を集めていくのか長期的な戦略を考えなければならないはずだ。

 僕は、事情があって試合開始2時間前にカンセキスタジアムとちぎに到着した。すると、競技場の正面ゲート前には数十人の広島サポーターが、大きな旗を掲げて選手たちのバスの到着を待っていた。広島からはるか遠い宇都宮市までこれだけの人が来てくれるのだから、ありがたいことだ。

 しかし、実は1月15日には皇后杯の試合は広島市(広域公園第一球技場)でも行われていたのだ。ノジマステラ神奈川相模原対ちふれASエルフェン埼玉という関東勢同士の試合だった。

 また兵庫県三木市の県立三木総合防災公園陸上競技場では、もう一つのカード、アルビレックス新潟レディース対大宮アルディージャVENTUSの試合が行われた。

 そして、広島会場の観客数はわずか144人。三木市会場の観客数も364人だった。

 本来なら(観客動員を考えるなら)、ベレーザ対広島の試合は広島会場で行うべきであり、浦和対神戸の試合も兵庫県で行うべきだったのではないか。そして、宇都宮では関東勢3チームや新潟の試合を行えば、サポーターは来場しやすくなり、観客数もおそらくはるかに多くなったはずだ。

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