■中学年代の逸材たち

 さらに若い世代でも優れたFWの活躍を見ることができた。

 12月に行われた高円宮杯全日本U-15選手権大会で圧勝したヴィッセル神戸U-15の話である。神戸は1回戦から決勝戦までの5試合を通じて無失点。そして、全試合で3得点以上を決めるという、前代未聞の強さを発揮したのだ。

 その攻撃の中心にいたのがワントップの渡辺隼斗。神戸はけっして攻め急がずに自陣でボールを回しながら相手守備の隙を狙い、スペースを見つけるとまず渡辺をターゲットにロングボールを送る。そこで、渡辺はボールを収めてからターンして自ら持ち込むかと思えば、ポストとなって素早く左右のサイドハーフにも展開。両サイドハーフがドリブルでしかけ、さらに両サイドバックもしっかりオーバーラップをかけてくる……。

 こうした展開のスケールの大きさがあの圧倒的な攻撃力をもたらすのだ。

 渡辺という総合的ストライカーと絡み合って面白い存在となっていたのが、準々決勝で2得点、準決勝で1ゴール1アシストと活躍したインサイドハーフの里見汰福。2009年生まれの13歳。中学1年生の選手だ。

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