後藤健生の「蹴球放浪記」第141回「サッカー取材と地下鉄の関係」の巻(1)カタールワールドカップではドーハは「通過駅」の画像
2001年のハンガリー対ルーマニアのW杯予選。古いネプスタディオンでの試合だった 提供/後藤健生

 カタールワールドカップが終了した。蹴球放浪家・後藤健生にとっては、最大の思い出のひとつがメトロとなった。世界中で敷設されている地下鉄だが、そこには各国それぞれの色も見える。現時点での終着駅から、かつて巡った国々へと記憶のレールをたどっていく。

■ドーハは地下を通るのみ

 カタール滞在中は毎日のようにメトロ(地下鉄)を利用していました。日本とフランスの企業体によって建設されたメトロは、2019年に開通した自動運転の新しい交通システムです。

 たとえば、決勝戦が行われたルサイル・スタジアムはメトロ「赤ライン」の北の終着駅「ルサイルQNB」駅の目の前でした。

 僕はドーハの南アルワクラ市の宿泊施設に泊まっていたので、「赤ライン」の南の終着駅「アルワクラ」まで移動して、そこからシャトルバスに乗り換えれば泊まっていた部屋から100メートルほどの所に着くのでとても便利でした。

 ルサイルは終着駅だったので1本待てば必ず座れましたし、大会中は「ゴールド・クラブ」と呼ばれる一等車も無料で解放されていたので、「ゴールド・クラブ」の車両が止まる位置を覚えて、いつもゆったりした椅子に座っていました。

 埼玉スタジアムや日産スタジアムから家に帰るより、はるかに楽な移動でした(しかも、すべて無料!)。

 他のスタジアムに行くときにもメトロで通うことが多く、滞在中は1日に2試合ずつ観戦していたこともあって、ドーハ市内はいつも地下を通り抜けるだけで、時々レストランで食事するために地上に出たのを除いてドーハの街並みを見ることは一度もありませんでした。

 ですから、メトロはドーハでの最大の思い出だったような気がします。

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