■11月開催の影響

 同様に、ヨーロッパの他の伝統国もまったく迫力を欠いていた。

 たとえば、この10年近くFIFAランキングでトップの座を争っていたベルギーは、ケビン・デブライネこそ素晴らしいプレーを見せていたが、エデン・アザールロメル・ルカクはまったく迫力を欠き、“小粒感”抱かせた。ベルギーは3試合を戦って得点はカナダ戦の1ゴールにとどまった。

 ポルトガルは、ガーナとウルグアイに連勝して順調な滑り出しかと思われたが、グループリーグ最終戦で韓国に逆転負けを喫する。そして、ラウンド16でスイス相手に若手のゴンサロ・ラモスのハットトリックなどで6対1と大勝したかと思ったら、準々決勝ではモロッコに攻め手を封じられてユーセフ・エンナシリの一発に敗れて姿を消した。

 エースであるはずのクリスティアノ・ロナウドは前線のターゲットとしては悪い出来ではなかったが、かつてのような決定力は失っており、彼をどのように使うのかが定まっていなかったように見えた。そして、ロナウドの存在(あるいは不在)が、他の選手たちに心理的な影響を与えて不安定性を生み出してしまった。

 ロナウドの使い方は、この数年、彼が所属する各クラブの監督を悩ませ続けていたが、ポルトガル代表監督のフェルナンド・サントス監督も解決することができなかったようだ。

 以上に言及したそれ以外のヨーロッパの国々は存在感すら示すことができなかった。

「ヨーロッパと他の大陸間の格差がさらに開いてしまったのではないか?」という心配は、少なくともカタール大会ではまったくの杞憂に終わったようだ。

 最大の原因は、2022年大会が通常と違った11月開催となったことだったと思われる。

 ヨーロッパ各国では国内リーグがワールドカップ開幕の1週間前まで行われていた。従って、各国の代表チームは集合から約1週間の準備期間で大会初戦を迎えることとなったのだ。通常のワールドカップなら、開幕前の3週間ほどの準備期間が与えられるが、今回は調整以上の準備はできなかった。ドイツやスペインは抱えていた不安材料を改善する時間を与えられなかった。

 ヨーロッパ各国が力を発揮できず、多くの波乱が起こった原因は異例の11月だった。

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