■日本代表では長年、長友佑都が担ってきた

 ブラジルはアレックス・サンドロが「6番」を着けていた。“セレソン”は背番号がポジションを指すことが多く、W杯代表ではブランコ、ロベルト・カルロス、マルセロ、フィリペ・ルイスらが6番を着けてきた。いずれも左SBの選手である。

 今大会ではアレックス・サンドロとアレックス・テレスがグループステージで左SBを任されたが、ラウンドと16準々決勝ではダニーロが先発した。アレックス・サンドロとアレックス・テレスが同時にケガをしてしまったのが理由で、右SBが本職のダニーロが起用された。

 ブラジルの左サイドは、ビニシウス・ジュニオールのエリアだ。インサイドハーフのネイマールも、頻繁に左サイドへ流れてくる。質的優位に立つ彼らなら、1対2の局面でもすり抜けられる。相手に止められたとしても、直接FKを得ることもできる。左SBの攻撃参加は、マストではない。むしろ、ボランチとの関係でビニシウス・ジュニオールやネイマールの守備の負担を減らし、守備時のリスク管理をしておくことを、チッチ監督はダニーロに求めたのだろう。

 ひるがえって日本である。

 日本代表の左SBは、2010年W杯から長友佑都が務めてきた。彼は左利きではないが、縦へ抜け出しての左足クロスがスムーズだった。

 しかし、近年は縦へ抜け出す回数が減っていた。左足のクロスが相手守備陣を混乱させることは少なく、右足へ持ち直してのクロスが増えていった。

 W杯アジア最終予選では、長友が先発して中山雄太が途中出場するのがパターンとなった。中山はCBやボランチを主戦場としてきた選手だが、このチームのDFでは希少な左利きだった。試合を重ねるごとに攻撃参加もこなすようになっていたものの、メンバー発表後のケガでカタールW杯出場を逃すことになった。

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