■両チームの精神的強さ
結果は2-1でクロアチアが勝ち、1998年以来2回目の3位となった。一進一退の攻め合いは本当に見応えがあった。戦術的には、モドリッチとコバチッチで中盤をつくるクロアチアが優位にあるように見えたが、ボールを奪ってから相手ゴールに迫っていくモロッコの迫力は多少のポジション的不利などものともしなかった。
しかし私がこの試合で最も強く感じたのは、祖国の人びとのためにとにかく勝ちたいという両チームの強い気持ちだった。26人もの選手がいれば、出場できない悔しさ、先発できない落胆などあるはずだが、そんなことはうっちゃって、とにかく勝つために90分間戦い抜いた。そのたくましさ、精神的な強さは、両チームのこの大会の7試合を通じて共通するものだった。
クロアチアは人口410万人という小さな国である。モロッコはその10倍近くの3700万人の国民をもつが、どちらの国も世界の大国と比較すると経済は弱く、多くの国民が祖国を離れ、外国で仕事をしている。そうした同胞への思い、そして何よりも祖国で声援を送ってくれている人びとに喜びを届けたいという思いが、両チームからこれほど強く感じられた3位決定戦は、これまでにあまりなかったのではないか。
ボールを奪う技術、ボールを奪ってから相手のプレスをかわし、攻撃に展開していくプレーの精度などで、日本はまだまだこの2チームのレベルには達していないと私は思う。後藤さんは「差ではなく違いではないか」と言うが、私はやはり「差」が正しいのではないかと感じる。