■ブラジル代表のミス
おそらく、ブラジルとしては「じっくりと戦って、疲労をためたクロアチアの足が止まってから勝負すればいい」と考えたのだろう。ある意味で、合理的な判断だ。実際、試合が始まっても、ブラジルは無理には攻めに行かなかった。
クロアチアの選手たちも、試合開始前には疲労の蓄積という不安はあったはずだ。だが、ブラジルが猛攻をかけてこなかったために余裕が生まれ、試合が進むとリズムを取り戻すことができた。そして、逆にブラジルはテンポを上げることができなくなってしまった。
それでも、延長戦に入ってネイマールのテクニックから先制点を奪ったブラジルだったが、「これで勝負あり」と判断してしまったのだろう。ダメ押しの1点を取りには行かず、試合運びに甘さが出た。そして、クロアチアが驚異の粘りを見せたのだ。
延長後半117分になってもプレーを続けていた37歳のモドリッチはブラジルの選手に絡まれながらもしっかりと前線にボールを供給して、同点ゴールのお膳立てをして見せたのだ。
PK戦で勝利し続けた成功体験を持つ(そして、そのための十分な準備を行ってきた)クロアチアの選手たちには「PK戦に持ち込めば勝てる」という確信があっただろう。
そして、クロアチアは筋書き通りにPK戦での勝利をもぎ取った。
もしブラジルが前半のうちから積極的に仕掛けていれば、クロアチアの選手たちは疲労の蓄積で最後まで耐えることはできなかっただろう。