■48か国が参加する次回大会

 旧ユーゴスラヴィア諸国はサッカーだけでなく、バスケットボールや水球など球技にはめっぽう強い(クロアチア・サポーターの中には水球用キャップを被っている人を数多く見かける)。個の強さとチームのために働く献身性が両立しているからなのだろう。

 だから、もちろん、クロアチアに学ぶ点は数多くある。だが、同時に選手層の厚さやボール扱いの丁寧さなどでは、日本の方が上回っている。

 日本代表は6月に東京・国立競技場で行われた親善試合でブラジル相手PKによる1失点だけに抑えて善戦した。攻撃面はあまり機能しなかったが、カタール・ワールドカップに入ってからの日本の勢いを考えれば、ブラジル相手にも何度かは決定機を作れただろう。

 だから、クロアチアの戦いを見ながら、僕は最後まで「ここで戦っているのが日本だったら」という気持ちを抑えきれなかった。

 いずれにしても、日本とクロアチアが1対1。ブラジルとクロアチアが1対1でともに引き分けに終わったのだ。PK戦という次ラウンド進出チームを決定するための仕組みの結果によって、日本がベスト16(勝点などを勘案して日本は9位という扱い)、ブラジルがベスト8。そしてクロアチアがベスト4以上というように順位に差がつくのはどこか釈然としないものがある。

 大会終了後、「次こそはベスト8」という言葉がチーム関係者からもメディアからも出ている。だが、次回大会は48か国参加の大会になるので、3チームずつのグループリーグの後、ラウンド32からノックアウト・システムで優勝を決める方式になると言われている。

 そうなると、ラウンド32でいきなりPK戦で涙を呑んでベスト32で終わってしまうかもしれないのだ。次回大会からは「ベスト16」とか「ベスト8」という意味がこれまでとは大きく違ってしまう。釈然としないことが、さらに多くなるだろう。

(5)へ続く
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