■韓国対ウルグアイで見えた「誇り」

 ただ、韓国は規律を守ってしっかりと組織的に戦えるチームだったが、柔軟性には欠け、一本調子になってしまった。そこで、変化を加えられるのがサイドアタッカーの位置にいる孫興民であり(通常は左サイドだが、ポルトガル戦後半は右でプレー)、またワンタッチでパスの角度を変えることのできる李康仁(イ・ガンジン)くらいのもの。全体としてはシンプルで、かつパターン通りのパス回しに終始したため、攻めあぐねる時間が長くなってしまった。

 初戦のウルグアイ戦では左サイドバックの金珍洙(キム・ジンス)のオーバーラップが目立ったが、日本では今では高校生レベルでも普通に行われているインナーラップなどはあまり見られず、戦術的に単調過ぎるきらいは強かった。

 ただ、韓国は伝統的に激しいプレーが得意なので、ポルトガルに対しても、ウルグアイに対しても球際での競り合いでは一歩も引かず、相手に思ったような攻撃をさせなかった。とくに、ウルグアイとの初戦ではともに決定機はあまり作れないままに終わったが、90分間激しい球際の攻防が続くタフな試合だった。

 韓国は「精神力」や「自尊心」を大切にする文化を持ち、一方のウルグアイも、ラプラタ地域のフットボールのテクニカルな側面と同時に「チャルーア精神」(原住民である屈強なチャルーア族の精神)を大切にする。そんな両国の誇りを懸けた戦いだった。

 ポルトガル戦も前半はポルトガルがコントロールする展開だったが、韓国の飽くなき戦闘意欲の前に、ポルトガルが次第に受け身になり、すでにグループステージ突破を決めていたこともあって、「引き分けでよし」と思うようになり、それが韓国の劇的な逆転劇につながった。

(3)へ続く
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