■大迫勇也を外した時点で想定内だったが……

 そのうえで言うと、4-2-3-1が機能しないことが気になる。チームの主戦術となるはずのシステムを、かくも早い時間で変更してしまう──それでいいのだろうか。

 W杯の出場各国を見ても、ファーストチョイスのシステムが固まっており、必要に応じてオプションを採用している。システムは変えずに、選手交代で変化を加えるチームも多い。

 それに対して日本は、主戦術の4-2-3-1でプレーしている時間帯にチームが機能していない。ドイツ戦もコスタリカ戦も、前半のパフォーマンスが良くないのだ。

 日本の4-2-3-1は、守備の局面では4-4-2になる。3ラインをコンパクトに保つことを前提として、守備の穴を作りにくいシステムだ。

 一方で、攻撃がいまひとつ機能していない。大迫勇也を外したところから想定内だったものの、コスタリカ戦のトップ上田綺世は前線で起点になりきれなかった。起点になった場面もあったが、散発的だった。

 4-2-3-1と3-4-2-1のどちらがスムーズなのかを問えば、今回のW杯では明らかに後者である。そして、4-2-3-1と同様に3-4-2-1にも、26人の選手を無理なく当てはめることができる。

 コスタリカ戦を3-4-2-1からスタートしていれば、交代カードが変わっていただろう。長友佑都ではなく伊藤洋輝を最初から起用していれば、攻撃のカードをもう一枚切ることができた。1点を追いかける展開になったところで、町野修斗を前線に加えることができた。

 グループステージ最終戦で対戦するスペインは、紛れもない強敵だ。ドイツ戦やコスタリカ戦のように、前半のパフォーマンスが芳しくないと、確実に傷を負う。ターンオーバーを前提としたスタメンだけでなく、スタート時のシステムも考えるべきだ。

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