2人合わせて「ワールドカップ25大会」を取材した、ベテランジャーナリストの大住良之と後藤健生。2022年カタール大会でも現地取材を敢行している。古きを温め新しきを知る「サッカー賢者」の2人がカタール・ワールドカップをあらゆる角度から語る!
■1日に何試合取材可能か?
「毎日3試合は見ることができるじゃないか!」
このワールドカップの日程が発表されたとき、後藤さんは小躍りした。たしかに1日4試合あり、しかも会場同士はひとつの市内と言っていいほど近い。
しかし私は「1日1試合で十分」と思っていた。ひとつの試合をじっくり見て、考えるのが私のスタイルである。
…とかっこうをつけて言ってみたが、正直な話をすれば、私は1試合見るだけでぐったりと疲れきってしまうのだ。監督をしている女子チームの試合でさえそうだ。ワールドカップの試合を2試合、まして3試合など見る体力など、私にはない。
その考えは、「2日2試合まで取材できる」とFIFAが発表したときも変わらなかった。しかし実際にカード選び始めるとあれも見たいこれも見たいと思ってしまうのは、レストランのメニューを見たときと同じ心理だったかもしれない。かろうじて「日本の試合がある日は1試合」という原則を決め、残りの日は2試合ずつの申請を出した。