■ドイツ戦での最大の不可解

 だが大会が近づくにつれ、「やはりこれは無理だ」と思うようになった。そこで「2試合は2日にいちど」と原則を決め、何試合かをキャンセルしたという次第である。後藤さんは「もったいない」というが、人にはそれぞれの生き方がある。70歳を過ぎて1日2試合を連続12日間などという無謀なことをするのは、世界でも後藤さんひとりだろう。

 というわけで、きょうは山下良美さんの第4審判ぶりを断念し、あれやこれやとドイツ戦のことを考えている。森保一監督の好采配で、たしかに日本は後半大きく改善され、思い切りの良い攻撃も出るようになった。だが私がこの試合で最も不可解と感じたのは、後半のドイツの「落ち込みよう」である。

 前半のドイツは、さすがに欧州のトップクラスらしく、すばやいパス交換で日本を振り回した。日本のプレスは試合開始直後こそ効果的だったが、ドイツの選手たちがいったんそれを見切り、すばやいパス交換で回避するようになると、あとは一方的なドイツペースとなった。

 片方のサイドでのパス回しで日本のDFラインを引きつけると、タイミングよく逆に振ってペナルティーエリア内でフリーの選手をつくる。PKを生んだのは、まさにこうした相手に息をもつかせない「理詰め」でハイテンポなプレーだった。

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