■11月開催の影響

 しかしドイツは後半はまったく別のチームのようになってしまった。パスが回らなくなり、崩しも大幅に減った。同じユニフォームを着ていても、まったく別のチームのようだった。森保監督がセンターバックをひとり増やし、サイドにスペースをつくらないようにしたこともあるだろう。しかしそれだけでは説明がつかないほど激しい落ち込みようだった。

 初めての11月のワールドカップ。欧州のトップリーグのスターで占められた強豪国の選手たちは3か月ほどのリーグ戦や欧州チャンピオンズリーグなどをこなして「試合勘」があり、ハイテンポの試合ができる準備ができている。だが一方で、大会前にはほとんど調整ぐらいしかできなかったことで、そのリズムを持続する「チームのゲーム体力」のようなものが不足しているのではないか。

 サッカーは常に相対的なもので、戦況が変わる要因が片方のチームの変化だけにあるわけではない。ドイツの極端な落ち込みように日本の変化が重なったことで、あれほど劇的な試合の変化が生じた。それが日本の逆転勝利につながるのである。

 毎日2試合を見てきょうで9試合を見たことになる後藤さんは、ドイツの後半の「落ち込みよう」をどうとらえたのだろうか。

  1. 1
  2. 2
  3. 3