■生まれた大きな変化

 サッカーが誕生してから20年の間に、スローインのルールは目まぐるしく変わった。最初の大きな変化は誕生から10年後の1873年。スローインを行うのはボールを出した相手方のチームということになった。タッチアウトしたボールの奪い合いが非常に見苦しいものとなっていたからだ。

 1877年には、「境界線に直角に」という文言が外された。これによって、スローインはパスのように自在に使われることになる。ただ、そうなると、「スローインからボールを受けるときにはオフサイドはない(直角に投げていたのだから当然だが)という状況が合わなくなる。翌年さっそくルール改正が行われ、スローインからもオフサイドを取られることになった。このルールが削除され、オフサイドがなくなるのは、1920年のことだった。

 そして次の大きな変化が1883年、片手投げを禁じ、両手投げに限定したことだった。スコットランド協会の提案で変更になった。

 1882年にイングランドとスコットランドの非公式戦(公式な国際試合としては記録に残っていない)があった。その試合に出場したイングランドの選手が、自陣からのスローインを右手1本で何回もスコットランドのゴール前まで投げ込み、スコットランドの守備陣は困り果てた。このころにはスローインからのオフサイドがあったのだが、それでもスローインに合わせてなだれ込むイングランドの選手たちに手を焼いたのだ。

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