■11月22日/カタールW杯 グループD フランス4ー1オーストラリア(アルジャヌーブ)
アルジャヌーブスタジアムは、ドーハの南の郊外にある。メディアセンターからはバスで40分ほど揺られなければいけないが、観客席にもメディア席にも多くの人が押しかけていた。
その多くの人の目的は前回王者がどのようなゲームを初戦で見せるかであり、それと同じくらい、キリアン・ムバッペの華麗な技術とスピードだったはずだ。
オーストラリアとしては、ムバッペを押さえなければいけないことは十分分かっていたはずだった。
しかし、右にはデンベレがいて、中央にはジルーとグリーズマンがいる。一人にばかり気を取られていてはいけない相手とあって、試合を通してみれば、いくつか守備の形を用意していた。もともとはフランスの両ウイングを捕まえておきたかったように感じられるふしはあったが、大外に加えて4バックの間をすべて埋めるような人的配置を見て、それをあきらめたように見えた。
そんな両者の戦いで先制したのはオーストラリアだった。右サイドへの大きな展開から得点を奪ったのだが、これは、オーストラリアの数少ない攻め手の一つだった。フランスが最大の武器であるムバッペを前に出している分、左SBの前はやや空きがちになっていた。この得点シーンだけ見れば、トラップで勝負はあったが、ここを狙うこと自体は意図したものであったはずだ。