■自身2度目のアジアカップでは獅子奮迅の活躍
2004年に行なわれたアジアカップでも、中村は獅子奮迅の活躍を見せた。どの試合も印象的だが、ここでは7月20日に行なわれたグループステージ初戦のオマーン戦をチョイスした。中村が34分にあげた決勝点が、”マーベラス”だったからだ。
ペナルティエリア手前でクリアボールを回収すると、間合いを詰めてきた相手をダブルタッチでかわし、シュートコースを切ってきた相手に触れられないように、左足のアウトサイドでゴール右スミへ流し込んだのだった。瞬間的なアイディアと高い技術が融合した、中村ならではのシュートだっただろう。
「ゴール前で最初にひとりかわしたときに、相手の足が少しかかってファウルっぽかったけど流されたので、そのまま突っ込んでいった。ただ、足元にボールが入って蹴りにくくなったので、アウトサイドで蹴った」
オマーン戦には特別な思いがあった。この年の2月に行なわれたドイツW杯アジア1次予選の初戦が、ホームのオマーン戦だった。中村は前半に訪れたPKでキッカーを務めたが、GKアリ・アルハブシに止められてしまう。久保竜彦のアディショナル弾で辛うじて勝利をつかんだものの、チームを苦しめた責任を感じていた。
「この前のPKと合わせて、これでチャラ(帳消し)だね」
数少ない海外組として出場したこのアジアカップでは、全6試合にフルタイム出場し、連覇の立役者となった。彼自身はMVPにも輝いている。