先週末の日本サッカー界では、番狂わせが頻発した。いずれもJ2クラブが起こしたものだったが、そのアップセットにはJリーグ全体のレベルアップが示されている。サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。
■相手の良さを出させなかった金沢
相手の良さを出させないという意味では、横浜FCを破ったツエーゲン金沢も同様だった。
今シーズンの横浜FCは3-4-3の形で、最終ラインもしくはボランチから左右のウィングバックへのダイアゴナルなパスを使う大きな展開がベース。そして、前線ではそのシュート技術の高さを遺憾なく発揮して第41節までに24ゴールを決めて得点王争いで独走する小川航基。そして、シャドーの一角に入ってドリブルで相手守備陣を混乱させながらゲームメークをする長谷川竜也が攻撃の中心となり、そこにブラジル人FWを絡ませた攻撃力は魅力的だった。
金沢戦では右のウィングバックにはいったイサカ・ゼインがこれまでにないような良いパフォーマンスを見せた。
タッチライン際を果敢にドリブルで突破するだけでなく、18分には中盤の中央で相手ボールを奪って左サイドに持ち出してミドルシュートを繰り出したりし、中央をドリブルで崩してシュートまで持ち込んだりと、これまでにないほどの多彩さを発揮した。