J2優勝のアルビレックス新潟を破った東京ヴェルディの「論理」【リーグ全体のレベルアップを示したJ2第41節と天皇杯決勝での超ド級下剋上】(2)の画像
東京Vは天皇杯でJ1の磐田を破った 撮影:原悦生(SONY α9Ⅱ使用)
 先週末の日本サッカー界では、番狂わせが頻発した。いずれもJ2クラブが起こしたものだったが、そのアップセットにはJリーグ全体のレベルアップが示されている。サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。

■来季の新潟に必要な要素

 自陣深くではGKもペナルティーエリアを大きく離れてDF間のパス交換に参加する。

 そして、たとえばサイドハーフが下がってパスを受ける瞬間にボランチがサイドのスペースに飛び出して深い位置を取るなど、ボールを動かす約束事がいくつも存在しているし、時にはFKをクイックスタートさせるなど全員がスペースを狙う意識を徹底させている。

 J2リーグでこれだけ際立った成績を残したアルビレックス新潟なら、来シーズン以降J1リーグでも十分に戦える戦力はあるだろうが、必要なのはゆったりしたパス回しから縦へのボールを使って攻撃のスイッチを入れるMF、つまりスイッチャーあるいはゲームチェンジャーであろう。

 かつての川崎フロンターレでの中村憲剛が担っていたような役割をする選手だ。

 第41節の東京ヴェルディ戦では島田譲がロングボールを駆使して攻撃に変化を与えていたが、島田は本来はバランサータイプ。もちろん、中村憲剛並みの選手など容易に見つかるはずはないが、チーム全体として攻撃の緩急をつける方法を追求していかなければならないだろう。

  1. 1
  2. 2
  3. 3