■攻撃パターンができていた浦和
決勝戦は両チームの良いところも足りないところも出た試合となった。
72分の村松智子のゴールでベレーザが3対0とリードした段階で、「これで勝負あり」と誰もが思ったが、その後、75分から84分までの9分間に浦和が3点を奪って3対3の同点で終了。延長戦は行われず、そのままPK戦に入って4対2で浦和が上回って、カップ戦初代女王となった。
得点経過だけを見れば、ベレーザが先行して浦和が驚異の追い上げを見せた試合だったが、内容的には前半から浦和が上回っていた。
浦和はワントップに置いた菅澤優衣香をターゲットにボールを送り、菅澤が落としたボールをトップ下の猶本光が左右に散らす攻撃のパターンを持っていた。左サイドでは大ベテランの安藤梢がボールを落ち着かせて、サイドバックの佐々木繭がオーバーラップ。右サイドからは清家貴子がドリブルで攻め上がった。
清家はもともとはFWの選手だったが、長いこと浦和ではサイドバックとして起用されて、ドリブルによる攻撃参加が武器の選手だったが、この日はサイドハーフでその攻撃力を存分に生かしていた。
開始4分に清家のドリブル突破で最初のチャンスを作った浦和は、20分前後までは優位に試合を進めた。